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5月, 2017の投稿を表示しています

フェスに出演しました 3

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アイヌ文化フェスティバル2021に出演しました。 備忘録として。 前日仕込み とはいっても音響は自前の機材をほとんど使わないので、使いそうなモノ(ワイヤレス関連と卓まわり特にPC、インターフェイス関連)だけよりわけて荷揚げです。 スピーカー、卓、PCCなど場所を指定して置いてもらいました。 奥のモニター。いつもの場所にスタンドで立ててもらいました。 メイン&前モニター。 前モニターは場所が厳しくてこの位置に。同軸なので軸外の音の変化がすくないのが良い。 メインはラインアレーなんで、客席では明瞭度が高い。舞台上では、低音の回り込みは少なく客席からの跳ね返りは大きく感じられる。 卓廻り。手前がCL3。奥がCL5。 手元全貌。 PCはいつも通りの右側に戻しました。台本は箱馬を重ねた上にのっています。 緑のトレーは3Dプリンターで作ったもの。RIVAGEに合わせて作ったので、CLには収まりが悪く、ちょっと斜めになっています。 写ってませんがヘッドホンは自前のを引っ張り出してきました。 TBマイクは借りた58です。 案の定、照明、映像に時間がかかり、隙間で音出しして、あとはレイヤーやユーザーデファインドキーの設定に時間を費しました。 カスタムレイヤーの設定 CLのいやらしいところはMIX/MTXのレイヤーがインプットの側のブロックに出せないところ。 こんな風にNanoPadをCentraLogic上に置いちゃうと、MIXにアクセスしにくくなってしまう。 最初はNanoPadをどけながらいじっていたんだけど、かなり面倒。 カスタムレイヤーがみっつ設定できるので、A2に出力用のカスタムを設定したらとたんに便利になりました。LS9的な使い勝手が復活です。 ユーザーデファインドキーの設定 これはLS9にも設定してるんだけど、comp1/EQ/Home画面のbookmark、TB On/Off、TB画面を呼びだせるようにしておくと便利です。 何だか調子が悪い?..本番中に止まる 他団体のリハがお先で進んでいくんだけど、何だか調子が悪い感じ?繋がらないチャンネルがあったり、出音が変だったり… 曰くDanteを目一杯使っていて、かつDanteとMADI変換してるところがあって上手くいってないのではないか、あとCL5自体もおかしい、とのこと。まぢか。困る

低音を何とかする

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曲をアレンジしてミックスするときの話です。 まあ最近はあまりやってませんが、たまに需要があるので。 低音が多いと歌のはいるすきまが無くなってしまいやすいです。 まず、交通整理をします。 PAできないほど低い 強弱がなくずっと鳴っている 他のパートと音量、音程ともかぶっている ようなものを弱めたり、なくしたりするだけでかなりスッキリします。 次に埋もれがちの楽器(たとえばBass)を、attack time遅めのコンプレッサーでアタックを残しつつサステン、リリースだけ音量を下げる、というようなことをします。 コンプレッサーをかけてみた動画。 同時に、アタックを歪ませて音色に特徴を持たせることで、小音量でも目立つようにします。歪ませてみた動画。 ベースアンプやトランス式のDIの感じのシミュレートです。ヘッドホンじゃないとわかりにくいかも。 真空管の歪みとトランスの歪みをぐりぐりしてみました。 TUBE側で振幅を制限しつつソフトな(ハードにもできる)歪みを加え、Transformer側でトランス特有のヒステリシスによる歪みを加えています。 両方いっしょにかけてみた動画。 曲調やジャンル感もありますので程々に。 まあ、打ち込みだとついつい有り物をそのままつかっちゃいがちだけど、低音は低音だけじゃないんだよ、というのがわかっていただければ。 ちなみにDAWはTracktion7、プラグインはSonicBirth1.3.1で作ったVSTプラグインです。 SonicBirth1.3.1は、もう開発してないし、ディレイ廻りに不具合があってノイズを出すので最近はあんまり使いませんが、まだ使ってるよ、自力で使えるようにできるよ、という人のために置いておきます。 dComp6.sbc SATURA.sbc ※ トランスの機能はかなりなんちゃってです。 SonicBirth1.3.1にはフィードバックや記憶を上手に扱う方法がないので、別の方法でヒステリシスを実現してます。 細かいところでは現実のトランスと挙動が違ってるかもしれませんが、そこは大目にみてください。

メインスピーカのクロスオーバー

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前記事の続き。 今回はクロスオーバー。 ここでもやりました 。基本的には同じです。サブウーハに声を入れたくない。 ここで使っているのは、NEXO PS15(旧型)にLS1200。専用のプロセッサがあります。 クロスオーバーもアラインメントディレイも固定。 スピーカ保護機能もブラックボックス。 スピーカ保護は外せないんで、いろいろ試行錯誤した結果、プロセッサ二台使いで、 一台(新型TDcontrollerMkll)はL,RのLo/Hi Box専用でSubLo無しの設定。 もう一台(旧型)はSubLo専用。 旧型は対象がLS!000なのですが、「LS1200の性能が十分活かせないことを除けば問題ないよ」と英語のマニュアルに書いてあるのでよしとします。 これで卓のマトリックスで好きな周波数でクロスオーバーを組むことができます。 最初はクロスオーバーを60Hzにしてみたのですが、低音にまったく量感が感じられなかったので、ちゃんと聴こえるところまで上げてみました。 SubLoにLPF 94Hz、Hi/Lo Boxに HPF 98Hzを入れた時の測定グラフです。 実際のクロスオーバーは73 ~ 80Hzあたり、位相差は130˚ ~ 60˚。 このあとSubLo側に位相差分のディレイ約5ms  = 1[秒] / 73[Hz] * (130˚/360˚)を入れました。  低音が聴こえ、かつ声がもやつかないギリギリのところです。

スピーカのレイアウト

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スピーカのレイアウトを決めるための図です。 劇場の図面から3Dに起こして、スピーカをいろんなところ、いろんな角度に置いて検討します。 スピーカの補助線はスピーカの公称指向角の半分にしています。この範囲内に観客席やアクティングエリアが収まるようにします。 「指向角の半分」ってどういうこと? 公称のカバーエリアを更に 軸上特性とほぼ同じエリア(指向角の半分より内側) 高域がだんだん減衰していくエリア(指向角の半分の外側で 指向角の内側) 高域がかなり減衰して使える音質ではないエリア(指向角の外側) の三つに分けて考え、なるべく1.だけ使うようにする、ということです。 実際は連続しているのですが、便宜上です。 音のエネルギーの大きい部分をカバーしたいエリアに集中することで間接音の割合を下げ、明瞭度を向上させることができます。 基本中の基本ですが、公称の指向角というのはかなり広いため、どこをどう狙ったらいいのかわかりにくいです。 適当に置いても大概の場合カバーしたいエリアは指向角内に入ります。 なんとか遠くに届かせたいので上振りになり、結果としてほとんどの音が間接音になってしまい明瞭度が落ちる、ということが往々にしてあります。 「指向角の半分」を意識するだけで、スピーカーのカバーエリアとカバーしたいエリアの広さの差が減少して、より合わせやすくなります。 と、ここまでは一個のスピーカーでエリアをカバーするときの話。 「もうちょっと遠くまで」とか「近すぎて聞きずらい」というのは、高域が減衰してしまっているためなので、補助的なスピーカを仕込んで足りない帯域を必要な方向に必要な音量だけ出せばOKです。 高域になるほど直線性が増すので狙ったところに届きやすく、干渉も少ないです。 ぼくらの機材と規模では大概この範囲でおさまります。 複数のスピーカで広い場所をカバーせざるを得ないときは、なるべくカバーエリアがかぶらないよう、音の干渉に注意します。 この場合、逆に「指向角の外」も大事です。 公称のカバーエリアの外でも音が干渉してひどい音になっています。 クラスターを組むときは角度をマニュアルに書かれているより広くとる、というのは経験的に多くの人がやっていることです

プレスコレコーディングの図

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何となく前記事からの流れで。 さくっと勢いでストレスなくとるための作戦です。 録音するときの配置図。 DAWは、2in 4outで使います。 2inはXY方式のステレオマイク。マイクユニットをぴったり同じ位置に合わせる。 2outは合唱の歌い手たちへのモニター。人に向けてマイクには向けない。ミックスの邪魔になりそうな音をDAW上でEQしておく。 残りの2outは作曲家指揮用。歌は乗せない。DAW上で距離分のDelay。 あとはDAWがinとoutで縦線が合うように調整すれば準備OK。

Melodyne二題

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Melodyneは分析が大事、という話です。 プレスコの修正 主に合唱部分を録音して、生で歌っているのにちょこっと足して迫力とか人数感とかをかさ増しするのに使っています。 舞台を重ねるにつれて本人たちはだんだんうまくなっていくのに、録音したものは稽古当時のままです。だんだん使いたくなくなる。 で、Melodyneの出番です。うまくすることはできないけど、音程、タイミング、音量など細かく修正できます。 録音したwavファイルを開くと分析が始まります。 必要ならアルゴリズムを変更します。 ヘッドホンモニターで録ったソロボーカルならすぐ修正作業に入れますが、今回はモニタースピーカーを鳴らして合唱一発録りなので、適宜、分析しながら進めます。 これが通常の編集モード。 ノートアサインメントモード(分析)に入ります。 スライダーの上限を最大にすると...  マウス周辺の音のある場所が雲で、ノート候補が透明のノートで表示されます。 楽譜を見ながら、あるべき音を捜し出して実体化したり、別のところに取り込まれちゃってる音を開放してあげたり...というようなことをします。 ちなみに、ビブラートは二つの近接した音として認識されます。 後ろのうすい雲の波がそれです。分ります?  これは無理矢理ピッチを修正しないほうがいいです。 この分析の後、ピッチ修正をしました。 タイミング、音量の修正はこれでWAVに書き出した後、別のDAWで。 Bassの音量だけ下げる バラードから入ってだんだん盛り上る構成の曲があるのですが、なぜかベースだけ、静かな時から大きい。 Melodyneで分析してみると、始まりのバラード部分も後半の盛り上った部分もほぼ同じ音量でベースが入っているのが分ります。そりゃ大きいわ。 作曲家先生「曲がそうなっちゃってるから仕方ないけど、もしできるなら下げておいてくださる?」 で、 他の楽器の音量、音色をなるべく変えずに、静かなところのベースの音量だけ下げてみます。 赤いところがベースです。 これを音量ツールで下げればよいのですが、ノートを検聴してみると、パーカッション類やパッドなどが相当含まれていることが分ります。これをそのままは

忖度してみた

一種の流行り言葉で、何年後かにこれを読んだ人は何のことかわからないでしょうが... いえ、言葉通りの意味です。 舞台の仕込みも佳境に入り、劇場入りして作曲家の先生がいらした時のことです。 本番通りにワイヤレスマイクを付けて曲をあたりました。 先生 一聴して「声が全体的に痛いんですけど、これって何とかなります?」 「わかりました」と返事はしたものの、何の事を言ってるんだろう?ちょっと聞いてみる。 「音楽はどうですか?」「そっちは問題ありません。声を張ったとき痛いっていうか...」 「特に誰、っていうのありますか?」「いえ、全体的に」 その時になぜか、圧縮されて海苔になって送られてきた曲のファイルのことが頭に浮び、ひらめいた。「ああそうか」 全員のマイクのコンプのSoft Kneeをひとつ上げて「これでどうです?」 「そうそう、全然良くなりました。この方向でおねがいします。」 「わかりました。ありがとうございます。」 「都会じゃ今、大体こんな感じです。」 「そうなんですか?」...以下略 超大雑把に言うと「大きな声も小さな声も同じ音量で聴きやす」い方向に調整して欲しいということでした。 専門家の諸兄の世相を憂える声が聞こえてきそうです。それは置いといて... 文字にして振り返ってみると、これって最初からコンプのことじゃん!コンプのことしか言ってねえじゃん!と思えるのですが、その時その瞬間はいろんなことを考えるわけです。 音が大きすぎる?  EQがうまくいってない? GEQ?それともチャンネルPEQ?  そもそもスピーカの配置に問題がある?  ヘッドアンプをまだ決めきれてない...  -> なのでコンプも決めきれてない。効きもバラバラ。そのせい?  -> なので操作も定まってない。ふわふわしてる。そのせい? どれも可能性があるし、短い時間の中で結果を出さないといけない... 「音が痛い」って言われると、ついEQに手を伸ばしません? もちろん、その可能性もあります。今回は違いましたけど。 人により表現はさまざま。ついつい、もっと分りやすい指示が欲しい、と思ってしまうのですけど、リクエストする側はもとより音響の専門家ではないのでそれは無理な注文です。 短い会話の中で状況を共有しつつ情報を補足し、あ