スピーカのレイアウト

スピーカのレイアウトを決めるための図です。
劇場の図面から3Dに起こして、スピーカをいろんなところ、いろんな角度に置いて検討します。

スピーカの補助線はスピーカの公称指向角の半分にしています。この範囲内に観客席やアクティングエリアが収まるようにします。

「指向角の半分」ってどういうこと?

公称のカバーエリアを更に

  1. 軸上特性とほぼ同じエリア(指向角の半分より内側)
  2. 高域がだんだん減衰していくエリア(指向角の半分の外側で 指向角の内側)
  3. 高域がかなり減衰して使える音質ではないエリア(指向角の外側)
の三つに分けて考え、なるべく1.だけ使うようにする、ということです。
実際は連続しているのですが、便宜上です。

音のエネルギーの大きい部分をカバーしたいエリアに集中することで間接音の割合を下げ、明瞭度を向上させることができます。

基本中の基本ですが、公称の指向角というのはかなり広いため、どこをどう狙ったらいいのかわかりにくいです。
適当に置いても大概の場合カバーしたいエリアは指向角内に入ります。
なんとか遠くに届かせたいので上振りになり、結果としてほとんどの音が間接音になってしまい明瞭度が落ちる、ということが往々にしてあります。

「指向角の半分」を意識するだけで、スピーカーのカバーエリアとカバーしたいエリアの広さの差が減少して、より合わせやすくなります。

と、ここまでは一個のスピーカーでエリアをカバーするときの話。

「もうちょっと遠くまで」とか「近すぎて聞きずらい」というのは、高域が減衰してしまっているためなので、補助的なスピーカを仕込んで足りない帯域を必要な方向に必要な音量だけ出せばOKです。
高域になるほど直線性が増すので狙ったところに届きやすく、干渉も少ないです。


ぼくらの機材と規模では大概この範囲でおさまります。

複数のスピーカで広い場所をカバーせざるを得ないときは、なるべくカバーエリアがかぶらないよう、音の干渉に注意します。
この場合、逆に「指向角の外」も大事です。
公称のカバーエリアの外でも音が干渉してひどい音になっています。

クラスターを組むときは角度をマニュアルに書かれているより広くとる、というのは経験的に多くの人がやっていることです。

離れた場所のスピーカの音がかぶる場合は時間差に注意します。
それぞれのスピーカからの音が同じ音量になる場所で、なるべく同じタイミングで到達するようにスピーカの位置を決めます。
無理な場合は電気的に 処理することもあります。



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