ファンタム式パナ改マイク、じゃなくてパナ無改マイクの超単純化 省電流バージョン

前回からのマイクつながりで。
抵抗とコンデンサ(とマイクユニット)だけでマイク作ります。

マイクの自作については、Shinさんという大先輩がいていろいろ勉強させてもらってます。
ShinさんのPA工作室

最近の記事で「ファンタム式パナ改マイクの単純化 省電流バージョン」というのがあったので、それにならって自分でもひとつ考えてみました。

まずは回路図。
計算上ですが消費電流約0.8mA。かなりエコです。

図では省略しましたが、WM61A内にFETが入っています。それだけで増幅っていうかインピーダンス変換しています。
抵抗とコンデンサで平衡伝送の仕組みを作ります。
それだけ。

R1=R2で抵抗が大きければハイゲイン、ただしだんだん高音が減って音質が劣化していきます。小さくすると、増幅度は下がりますが高耐圧になります。
R3=R4とR5でファンタムを分圧してWM61A内蔵のFET用の電源を作ります。抵抗を大きくすると省電流になりますが、大きくしすぎると十分な電圧を確保できなくなります。
C1=C2はありもので4.7µFを入れたのですが、小さくなるとそれだけハイパスになって音が変ってきます。 大きいとより低音までフラットになって測定向きですが容れ物に入らなくなるかも。

QUCSでいろいろいじっているうちにできたので特に理屈があるわけではないのですが、強いてあげるならこんなことです:

ケーブルにはノイズがのります。
ファンタム電源を使うと使っただけ電圧が変動してしまいます。
HOT側はノイズ+ファンタム電圧変動。
COLD側は信号(逆相)+ノイズ+ファンタム電圧変動。
卓の差動入力でノイズとファンタム電圧変動が消えて信号(正相)だけが残る、というわけです。

普通に平衡伝送の理屈なのですが、ファンタムの電圧変動もコモンモードノイズとして扱うというのがちょっと違うところかな。

実際に作ってみました。

ブレッドボードでいろんな抵抗、コンデンサを試してみました。
見にくいですが、マイクの足元に2sk30aがはいっています。カスコード接続というやつです。後述。

部品を直接ハンダ付け。
のちホットボンドで補強&絶縁。

組み上げてほぼ完成。
黒いのはピンマイクに付属のファンタムアダプタ。中味は抜いてあります。
細いところはホーンプラグ。ねじが合ったので。芯を抜いてあります。
今のところwm61aはテープで仮止めしてます。銅テープで貼る予定です。

ちゃんと音が出ました。かなりいい感じではないかな?
悪名高い?ECM8000とゲインを合わせて比べてみました。
シャーっていうノイズが格段に低い。勝ったな。

これは他の二線式のエレクトレットコンデンサマイクにも応用できます。
シャーノイズが気になって使えないマイクもちょっとした改造で使えるようになる。
エコですな。


適度にゲインがあったので必要なかったけど、ハイゲインにするなら、カスコード接続というのが音がいいらしいです。
やってみた回路図。

消費電流約1.4mA。
FET(2sk30A)が追加されています。このFETが飽和するだけの電圧は必要だそうです。これで約10Vかかってる計算です。


しかし、
WM61Aといい2sk30Aといい、廃盤ばかりで申しわけありません。
手元にこれしかなかったのです。




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