GEQでは合せられない? 音場調整 定在波とか 2

前記事の追加とかです。

何 独自研究かましてんの? 自慢したいの?


いえいえ、そんなだいそれたことできません。
ひとの受け売りがせいいっぱいです。

30年近く前に書かれた「ハンドブック・オブ・サウンド・システム・デザイン」(ジョン・アーグル 著 鈴木中 訳)の第11章システム・イコライゼーション 2.フィルター特性 (2)狭帯域装置の項にすでに書かれています。ちょっと引用すると
"
狭帯域装置は、コントロールしようとするフィード・バック周波数個々をチューニングすることが可能である。...
...4ヶ所の狭帯域ノッチが、 相対的な音響特性の広帯域性に影響を与えていないことに注目してほしい。...狭帯域の谷(dip)は完全に限界帯域幅内にあるので...谷の部分が聴感上目立つことはない。
"
GEQとノッチフィルターとの違いを知って組合せて使おうぜ(超意訳)という文脈で、このように書かれています。

独自の部分があるとすれば、先にノッチした方があとあと楽できんじゃね?というところだけです。
(ちなみにこの後、実戦的なイコライゼーションのしかたが書かれているのですが、今でも役にたつ内容です。一読をおすすめします。)

 効能


  • 明瞭度が上がる
    • 声をマスクしていた特定の大きく長い音の成分だけを選んで下げるので、ホールの響きのキャラクターを大きくかえることなく、明瞭度が上げられる
  • ハウリングしにくくなる
  • 歌の音程が良くなる
    • 特徴的なホールの響きが抑えられるので、音楽の響きよりホールの響きに左右されがちな演者でも音程が良くなる効果が期待できる。


音痴が直る、という程ではありませんが、ちょっとだけうまくなった感が 出ます。

音場調整がうまくいかないもうひとつの理由


機材も測定機器も進化して精密なことができるようになってきているのに、扱う人間の方の思考、方法論、感覚が古いままだから。

例えば、GEQでハウリングをとるとか、です。(ぼくもやりますけど)
さきほどの引用の続きです。
"
1/3オクターブ・フィルターは、システムを広帯域化した後のフィード・バックの可能性を低減するために限定的に使用される。しかし、固定型の1/3オクターブの中心周波数が、実際のフィード・バック周波数の近似値でしかないところが問題である。
"
「ハウリングにGEQ使ってもしょうがないけど、周波数が合ってないからどのみち削り過ぎだよ(超意訳)」30年前の人もそう思っていました。
本来はおいしいところを削りすぎないように狭いQでGも必要最低限だけ減らす、というのがやりたい筈です。それはPEQでないとできない。GEQでは無理。
それでもGEQを使っちゃうのは、PEQが難しいから。
  • 問題の周波数を特定する 
    • -> 絶対音感があるわけじゃないのでわからない。測定器は高いし...
  • PEQのFノブをその周波数に合わせる
    •  -> 大雑把な目盛しかないので合ってるかどうか分からない
  • PEQのGノブを必要な分だけさげる 
    • -> どのくらい下げればいいかわからないし、大雑把な目盛しかないのでちゃんと下がったのかも分からない。
  • 確認 
    • -> 変化したのかどうか微妙すぎて分からない。
かなりの熟練が要るし、測定器も必要(われわれ凡人には)。

ただしそれは過去の話で、今時のデジ卓は、周波数も表示されるし、内蔵のRTAだってある。
それがなくても、スマホの無料アプリのチューナーやRTAがあるし、有料アプリを買えばほぼ万能ツールが手に入る。
現状も問題点も操作結果も目で見て確認できる。

ちょっと理屈を勉強して、あとは便利な道具を使って感覚を磨くだけです。
お手軽な世の中になりました。

ちなみに、かつて+/-3,6,12dBで1/3オクターブの粗い分解能(今となっては)のRTAが30万円しました。
それが10万になり、5万になり、2万になり...
今では無料アプリの方がよっぽど精密です。

そんな狭いQでEQしたら、お客さんが入ったときに変わっちゃうんじゃないの?


その可能性はあります。っていうか変わってるんだと思います。
ただし今迄の経験では、客入れで会場の周波数特性が大きく変わってしまって再調整、なんてことは一度もありません。
超満員でオールスタンディング、なんてことがあればまた別なんでしょうけど。

ただし、気温、気圧の変化は大いに関係します。
暖冷房を使う時は、空調をはやく入れてもらって気温が安定してから音場調整をするようにしてます。

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