フェスに出演しました 3

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アイヌ文化フェスティバル2021に出演しました。 備忘録として。 前日仕込み とはいっても音響は自前の機材をほとんど使わないので、使いそうなモノ(ワイヤレス関連と卓まわり特にPC、インターフェイス関連)だけよりわけて荷揚げです。 スピーカー、卓、PCCなど場所を指定して置いてもらいました。 奥のモニター。いつもの場所にスタンドで立ててもらいました。 メイン&前モニター。 前モニターは場所が厳しくてこの位置に。同軸なので軸外の音の変化がすくないのが良い。 メインはラインアレーなんで、客席では明瞭度が高い。舞台上では、低音の回り込みは少なく客席からの跳ね返りは大きく感じられる。 卓廻り。手前がCL3。奥がCL5。 手元全貌。 PCはいつも通りの右側に戻しました。台本は箱馬を重ねた上にのっています。 緑のトレーは3Dプリンターで作ったもの。RIVAGEに合わせて作ったので、CLには収まりが悪く、ちょっと斜めになっています。 写ってませんがヘッドホンは自前のを引っ張り出してきました。 TBマイクは借りた58です。 案の定、照明、映像に時間がかかり、隙間で音出しして、あとはレイヤーやユーザーデファインドキーの設定に時間を費しました。 カスタムレイヤーの設定 CLのいやらしいところはMIX/MTXのレイヤーがインプットの側のブロックに出せないところ。 こんな風にNanoPadをCentraLogic上に置いちゃうと、MIXにアクセスしにくくなってしまう。 最初はNanoPadをどけながらいじっていたんだけど、かなり面倒。 カスタムレイヤーがみっつ設定できるので、A2に出力用のカスタムを設定したらとたんに便利になりました。LS9的な使い勝手が復活です。 ユーザーデファインドキーの設定 これはLS9にも設定してるんだけど、comp1/EQ/Home画面のbookmark、TB On/Off、TB画面を呼びだせるようにしておくと便利です。 何だか調子が悪い?..本番中に止まる 他団体のリハがお先で進んでいくんだけど、何だか調子が悪い感じ?繋がらないチャンネルがあったり、出音が変だったり… 曰くDanteを目一杯使っていて、かつDanteとMADI変換してるところがあって上手くいってないのではないか、あとCL5自体もおかしい、とのこと。まぢか。困る

GEQでは合せられない? 音場調整 定在波とか

釣りです。そんなことはありません。GEQで十分事足ります。
ただし十分に広い会場では、です。

狭い会場では、効果的にPEQを併用するのが吉。という話です。

まず、

定在波(あるいは固有振動モード)とは?


定常波-wikipedia 壁に反射して戻ってくる音は定在波になります。というアニメーション。
二次元モード  空間に定在波が作られるアニメーション。二次元だけどイメージしやすいので。(文字化けする場合は、ブラウザのテキストエンコーディングをShift JISにしてください)

反射して戻ってくるだけで定在波になるのですが、うまいこと条件が揃うと、特定の周波数の音だけ振幅が大きく、長く続く音になります。
固有振動モードとか、ノーマルモードとかいいます。(これも含めて定在波、という人もいます。定義はひとそれぞれ。)
レーザー光線(光ですけど)、声や楽器の音の発生メカニズム、ハウリング、リバーブなどは原理的には一緒の現象です。


直方体の空間ではこんな周波数特性になります。


低域にまばらに大きな山(と、谷)があり、高域になるにしたがって山が密集しています。
周波数がどのくらいになるのかは、空間のかたちによります。
  • 幅2m 奥行2.5m 高さ1.5mの車内空間があるとすると、最初のみっつの山は、68.8Hz, 86.0Hz, 110.1Hz になります。
    • 特定の低音がこもり過ぎるから吸音とかの対策が必要、という話になります。
  • 幅20m, 奥行30m, 高さ10mのホールがあるとすると、最初のみっつの山は、5.7Hz, 8.6Hz, 10.3Hz になります。
    • 大きなでこぼこがかなり低域に移動したので、PAに悪影響を及ぼすということはなくなります。
実際のホールでは、このような山 / 谷を作らないように、平行壁を作らない、吸音材、反射材を効果的に使うなどの対策がとられています。
だから、定在波のことは無視しても大丈夫...

なんてことはありませんから。

均一な音場の会場なんて出会ったことありませんっ(きっぱり)。
上のグラフの赤いところで普段仕事をしているのですが、密集してるからといって平坦なわけではありません。ところどころ鋭いでっぱりが飛び出しています。どの会場でもです。

ただし、PA席でワンツーしても、音源やピンクノイズでRTAしても分かりません。
なぜか。二つ問題があります。
  • RTAが良くない。あるいは使い方が良くない。
    • 低域を細かく知りたい(高域はある意味どうでもよい)のに、低域が粗く、高域が精密。原理的にね。
    • 周波数を細かく測ろうとすると反応が鈍くなり、音楽をかけちゃったりするとRTAがついていけない状況におちいる。原理的にね。
  • 固有振動は
    • 発音源(歌い手、スピーカー)の位置、
    • 観測者(観客)の位置、
    • 固有振動を起す経路(マイクが影響する)    で変わってくる。
(RTAさんに文句を言ってるのではありません。日頃便利に使わせていただいております。はい。)

つまり、
  • PA席でワンツーして分かるのは
    • その場所での固有振動、
  • 音源で分かるのは
    • マイクも歌い手も存在しない場合の固有振動
ということです。

もちろん関連がないわけではなく無駄とは言いませんが...

それって一番知りたいこと?

一番知りたいのは、舞台で歌っているときに邪魔になる固有振動です。
もっと言うと、「マイクを使ったために増幅される羽目におちいった特別な固有振動を特定し、叩く」ということです。
なので実際にPAを生かし、舞台上でマイクを規定位置まで上げた状態で、自声で測ります。

でも、それってハウリングとりと一緒じゃん? 

そうです。その通り。
違いは、
  • 固有振動を正確に特定し、狭いQで叩く。
    • そのために自声でスイープし、チューナーで周波数を観測する。
  • 声のPEQでなく、メインPAのPEQで落とす。
    • その周波数の音が空間にあるとマイクに入ってまた声の邪魔をするから。

あれ、観客の位置で、っていってたよね。舞台上で観測するのでいいの?

  鋭い! でも、いいんです。舞台上で十分。ていうか舞台上がいい。

確かに固有振動モードというのはその場所に固有の現象ですが、その場所にしか起きないのではなく、同じ現象が周期的に空間のいたるところで起きています。
仮に344Hzで固有振動があるとすると、波長は 1 m 。
  •  固有振動を感じた直ぐとなり25cmの地点では、定在波の節になって、その音は聴こえません。
  • 50cmとなりでは、振幅は大きいですが逆相です。
  • 75cmとなりでは、また節になって、聴こえません。
  • 1 mとなりでは、同じように固有振動が観測されます。
  • ...
というふうに空間全体に周期的に広がっているのです。
このとき客席で観測した場合、たまたま固有振動の節に居たとしたら、固有振動を観測できません。舞台上でマイクで声を出していると確実に観測できます。


逆に舞台上で観測できた周波数以外が固有振動になる可能性はない?


なくはないです。っていうかあります。ただし、PAされなかったり、されにくかったりするので、PAされるものに比較して通常は小さい音になるでしょう。
仮にマイクの位置が定在波の節だったとすると、その周波数の音はあまりマイクに入らず、ほとんどPAされません。
マイクの位置が定在波の逆相の腹に当たる場合は、マイクに戻ってくる音は逆相で、振幅を減らす方向に働きます。



定在波は悪なの?きらいなの?


いえいえ、定在波は全然悪くありませんし、もう、大好きです。
音楽が美しく感じられるのも、非力なPAで舞台ができるのも(屋内限定ですが)全て定在波さんのおかげ。いつも感謝してます。

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