録音された音楽で歌ったり踊ったりするわけですが、往々にして歌が音楽に埋もれてしまうわけです。よくあります。
そんな時は、色んな手で生歌の入るスペースを確保するわけです。
時間軸に問題があり、かつ微小な修正で改善できる場合があります。そんな時はこれ。
- 中のMixxx.sbcをsonicbirth1.3.1で開き、
- View>>Display Runtimeにして
- このサイズまでwindowを拡大して(ここ重要!なぜかインストール時のウインドウサイズがAU/VSTに反映されます)、
- File >> install as AU(or VST) ...でインストール。
いわゆる32bitのプラグインなので
Mavericks(OS X 10.9.2) & Live8 or 9,Tracktion 4 or 5(32bit)で使えました。
Tracktion3では表示にバグが有って多分使えないでしょう。
AU Lab(32bit)では使えましたが、Logic Pro X(64bit)では使えませんでした。
何をするものかというと、
中域だけ(場合によっては高域も)微妙に遅らせることで
を図る
というものです。
さらに、意図的に歪を作って加えることで、低域、中域の楽音のアタックを強調することができるようにしました。
使い方は
クロスオーバーで三帯域に分割する
ジャンルにもよりますが、
低域はバスドラム、ベース
高域はシンバル類
中域はスネアドラムやその他の楽器
とりあえず、なるべく分離するようなクロスオーバー周波数を選びます。
ディレイを設定する
ディレイは1波長単位でしか設定できません。クロスオーバー周波数での干渉をゼロにするためです。
中域のディレイ[秒]は(中低域のクロスオーバー周波数の逆数)かける(波長数)です。
250Hzで1波長なら4ms、400Hzで1波長なら2.5msのディレイになります。
通常は1波長で済ますのが吉。クロスオーバー周波数近くの音質変化が最小になります。
1波長のディレイを入れてみて、中域が遅れすぎる、あるいはリズムが跳ねすぎと感じたら、入れすぎです。
ディレイを減らすためクロスオーバー周波数を高くすることを検討してください。
その分、分離が悪くなりますがそこはトレードオフということで、総合的にみて良いポイントを探してください。
高域のディレイ[秒]は中域のディレイプラス(中高域のクロスオーバー周波数の逆数かける波長数)です。
中域を基準にしているのでマイナスも設定できます。が、低域より前にはいけません。
その限界をMINIMUMの枠で表示しています。まずはこの値に設定して始めてください。
低域に対して高域が早い、突っ込んでいると感じたら、ディレイ量を増やします。
アタックを付加する
帯域を分割してディレイを加えたので、倍音関係が崩れて、特に低域のアタックが不明確になります。
compでアタックを強調してdistで歪を作ります。
その後compの音を引き算してるので歪だけ残ります。
distのパラメータは
CHARA.:歪のキャラクター。数値が小さいほど大きい音で急に歪む。
THR:歪のスレッショルド。
HPF:ハイパスフィルター。
GAIN:歪の音量。
カットアンドトライでパラメータを操作して元の音に近づくようにアタックを付加します。
同様に中域にもアタックを付加することが出来ますが、通常は使わない方がいいでしょう。
かなり微妙なことをしているので、これでいいと思っても、次の日聴くと、全然だめじゃんと思うこともあります。何度もトライしてください。
これでグルーヴを整えて生歌の入るスペースを確保することができます。
これはある曲のスペクトログラムです。今回エディットした物の中で一番ずれていたやつです。
Sonic Visualiserで撮りました。
左が使用前。右が使用後。
ちょっと暗いですが、上のマル内にメロディーのグロッケンがいます。
下の四角がコントラバスです。
左ではメロディーに対しだいぶ遅れていますが、右では改善しています。
ここで必ず元の曲と聴き比べてください。音質がかなり変わっているはずです。
音質変化が最小になるようにディレイ値を選んでいるのですが、それでも、遅らせたものを足しているので、重なっているところでは干渉が起こっています。
右図がある曲の周波数分布の様子です。
Audacityでスペクトラム解析をしてtextで書き出し、LibreOfficeでグラフ化したものです。
青が元の曲、
赤が修正したもの、
黄色が
青と
赤の差です。
クロスオーバーの上下に谷ができています。
深い谷は復活させるのはほぼ無理だと思ってください。
浅い谷はPEQを使えばある程度は復元可能です。
フラットにしようと思わず、音楽全体を聞いて修正を加えてください。
歌のスペースを作ろうとしているので、音が減っている方がむしろ良い場合があります。
ちなみに、実際に曲の調整に使ったのはFmix2を元にして作ったMixxmOというプラグインです。
これは失われたアタックを帯域別のコンプで強調することで復元しようと作ったものです。
でもアタックが復活するほどコンプをかけると音圧も音色も元の曲と変わりすぎるところが欠点でした。
それで、クロスオーバー部分だけを活かして、コンプはかけず、アタック部分を別に作ってちょっとだけ混ぜるというRack(Tracktion限定の話です)を作りました。
これがなかなかいい仕事をしてくれたので、他の環境でも使えるように、PEQ以降を省いた中心部分を単体のプラグインにまとめたっていうわけです。
currentVote
noRating
noWeight
コメント
コメントを投稿