仕込み 音場調整(ディレイ)

スピーカを置いたり吊ったりしたわけですが、その後いろいろ調整が必要なわけです。
何からするか?僕の場合はまずはディレイからです。

舞台は広さがあって
出演者はいろんな場所で
それぞれ違ったタイミングで
音楽を聴いて歌ったり踊ったりしています。

またスピーカもいろんな場所に置かれていて
距離にスピーカからの距離によって
早く聴こえたり、遅く聴こえたり。

無調整のままだと、歌や踊りがバラバラな、残念な舞台になりかねません。
特に今回は中央舞台、二階踊り場、花道三階の甲板と空間がとんでもないことになっているのでなおさらです。

そこを、スピーカから出る音のタイミングを変えてやることで
全体のリズムが揃い、
走ったりもたったりしないようにしないようにできるわけです。
(もちろん全てピッタリとは行きません。なるべく気にならない方向に持っていく、ということです。)

僕の一つの指標は、振付家や音楽家が「もっと縦線そろえて!」と叫び出すことなく、
誰々が走ってるor遅れてるというのを的確に指摘できるようになっていることです。

ここの劇場にはsmaartという便利グッズがあるので、それであわせていきました。

  • 測定マイクを大体ワイヤレスマイクの高さにして、踊り場のちょい内側、後吊りスピーカと中置スピーカが両方聴こえる位置に立てて、マイクと両スピーカとの距離を測り、距離差を計算する
  • 同じくマイクをセンター前吊りスピーカの下に立てて、奥吊りスピーカとの距離、前吊りスピーカとの距離を測り、距離差を計算する
  • マイクを立てていた位置にスピーカを立て(演技者の歌唱のかわり)、マイクは客席センターに立て、歌とプロセ、歌とメインの距離差を計算する
  • 甲板上にマイクを立ててプロセスピーカとの距離、2階フロントモニタスピーカとの距離を測り、距離差を計算する

今回は歌とメイン、プロセの距離差がほとんどなかったのでそこは0msで、
奥吊りを基準にして、それぞれの距離差を補正するようにディレイをいれていきました。
また、音楽のメイン、プロセ送りには奥吊りスピーカとマイク(センター)の距離マイナス11.5msのディレイをいれました。2階フロントモニタにはこの分も足されています。

こんなやり方をしたわけですが、これは、こういう計測をしてこういう計算をすれば大丈夫というものではなく、

  • かっこ良くなってるかどうか、
  • どこかの場所で走ってたり遅れてたりしていないか、
  • リズムを見失っていたりしてないか、

実際のパフォーマンスを見ながらディレイ値やスピーカの位置、角度等、調整していくことが必要です。

大体、前提が勝手な推測に基づくものですから。
ここが演技の中心だろう、とか。
普通の人は平均的に11.5ms突っ込んで歌っちゃうもんだ、とか。

今回は最初設定した値でほぼ大丈夫でした。
でも、だんだん演技者が慣れてきたらまた変わっていくかもしれません。
その時はそれに合わせて調整するということです。


で、このディレイ値をどこでいれるか?
今までは卓M7CLの出口やインサートで入れていました。
今回はLive上ですべてやりました。なぜ?
それはまたの機会に。



コメント