iPadついでに、それを使ったEQの仕方とかディレイの設定とか書こうと思ったんだけど、手順だけ書いても何だなあ...ということで、その前にいつも考えていることというか、基本的な考え方を書いておきます。
一応、録音された音楽でミュージカルをするというシーンでの話です。
中の音を生かすか殺すか?
自分たちがやる中小規模のホールでは、大抵の場合、セリフや歌、モニタースピーカの音など舞台中の音が客席でかなり聴こえます。この音をどうするか?
もちろん消すことはできないので、もっと大きいPA音でマスクしようとする方法がまずあります。
PA音が十分大きければマスクできるのですが、PA音が舞台中の音と同程度あるいは以下になると、舞台中の音がにごりとしてPA音を邪魔してしまいます。
音楽だけだとある程度ダイナミックスが一定なのでいいのですが、セリフだけや生歌にちかいものからがっつり聴かせたいロックナンバー的なもの、爆音のSEと、ダイナミックスが大きい場合はつらいです。
セリフを自然に聴かせたいと思って音量を下げると、とたんに明瞭度が落ちるので、ある程度の音量を保たないといけない。最小の音量が大きいので全体に音が(不自然に)大きい舞台になりがちです。
お客として観にいってもつらいし、自分でオペレートしていてもつらい。
システムも大掛かりになるので経済的にもつらい。
また、音を大きくすればそれだけ残響も増えて明瞭度が落ちるし、マイクのゲインを上げればハウリングの危険も増えるというつらさもあります。
客席を見れば、前の方の席では依然として舞台中の音が結構聞こえるので濁っている、あるいはPA音が違うタイミングで聞こえてきて邪魔という状態で、真ん中あたりの一番高い席で爆音、後ろの方の安い席で丁度良くむしろ一番楽しめるということになりがちです。
もちろん、こういった懸念は音響屋さんは多かれ少なかれ大概持っていて、いろんな工夫をして、そうならないよう務めているのだと思います。
その一方法として、舞台中の音をむしろ積極的に生かすというのがあります。僕はそうしています。
delay、EQを駆使して、生声とPA音が、タイミング的にも音質的にもシームレスにつながるようにします。これで自然な生声に近いものから大音量の歌まで音量変化の自由度が格段に増します。
客席になるべく聞こえないように設置していたモニタースピーカをむしろ客席に聞こえるように設置して、客席に漏れていく音をdelay、EQでタイミング的にも音質的にもPA音とつながるようにします。これで舞台の中から漏れていく音がすっきりします。
どこで観ても同じとはいきませんが、うまくいけば、客席中央で生音とPA音がタイミング的にも音質的にも音量でもベストバランスの時、そこより前に行くにしたがってずれていくものの、舞台の中の音が先行して音量も増えるので生の迫力が楽しめ、中央より後ろに行くに従ってPA音が先行して相対的に音量も増える(=生音が減衰する)のでそれなりにPAで楽しめるというふうになります。
無駄に大きな音を出さなくていいので経済にも優しい。エコです。
副次的な効果として、うまくやれば、ずれずれだった歌やダンスのタイミングを正しく修正することができます。劇的に舞台の質が上がります。これについてはいつか別の機会に詳述。
一応、録音された音楽でミュージカルをするというシーンでの話です。
中の音を生かすか殺すか?
自分たちがやる中小規模のホールでは、大抵の場合、セリフや歌、モニタースピーカの音など舞台中の音が客席でかなり聴こえます。この音をどうするか?
もちろん消すことはできないので、もっと大きいPA音でマスクしようとする方法がまずあります。
PA音が十分大きければマスクできるのですが、PA音が舞台中の音と同程度あるいは以下になると、舞台中の音がにごりとしてPA音を邪魔してしまいます。
音楽だけだとある程度ダイナミックスが一定なのでいいのですが、セリフだけや生歌にちかいものからがっつり聴かせたいロックナンバー的なもの、爆音のSEと、ダイナミックスが大きい場合はつらいです。
セリフを自然に聴かせたいと思って音量を下げると、とたんに明瞭度が落ちるので、ある程度の音量を保たないといけない。最小の音量が大きいので全体に音が(不自然に)大きい舞台になりがちです。
お客として観にいってもつらいし、自分でオペレートしていてもつらい。
システムも大掛かりになるので経済的にもつらい。
また、音を大きくすればそれだけ残響も増えて明瞭度が落ちるし、マイクのゲインを上げればハウリングの危険も増えるというつらさもあります。
客席を見れば、前の方の席では依然として舞台中の音が結構聞こえるので濁っている、あるいはPA音が違うタイミングで聞こえてきて邪魔という状態で、真ん中あたりの一番高い席で爆音、後ろの方の安い席で丁度良くむしろ一番楽しめるということになりがちです。
もちろん、こういった懸念は音響屋さんは多かれ少なかれ大概持っていて、いろんな工夫をして、そうならないよう務めているのだと思います。
その一方法として、舞台中の音をむしろ積極的に生かすというのがあります。僕はそうしています。
delay、EQを駆使して、生声とPA音が、タイミング的にも音質的にもシームレスにつながるようにします。これで自然な生声に近いものから大音量の歌まで音量変化の自由度が格段に増します。
客席になるべく聞こえないように設置していたモニタースピーカをむしろ客席に聞こえるように設置して、客席に漏れていく音をdelay、EQでタイミング的にも音質的にもPA音とつながるようにします。これで舞台の中から漏れていく音がすっきりします。
どこで観ても同じとはいきませんが、うまくいけば、客席中央で生音とPA音がタイミング的にも音質的にも音量でもベストバランスの時、そこより前に行くにしたがってずれていくものの、舞台の中の音が先行して音量も増えるので生の迫力が楽しめ、中央より後ろに行くに従ってPA音が先行して相対的に音量も増える(=生音が減衰する)のでそれなりにPAで楽しめるというふうになります。
無駄に大きな音を出さなくていいので経済にも優しい。エコです。
副次的な効果として、うまくやれば、ずれずれだった歌やダンスのタイミングを正しく修正することができます。劇的に舞台の質が上がります。これについてはいつか別の機会に詳述。
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